それでも世界の車は面白い
デミオの1日試乗も素晴らしい体験でしたが、もう一つとても楽しい試乗ができました。
もともと目をつけていた車の輸入開始時期が大幅に遅れそうな情報がどんどん入ってきて、がっかりしながらマツダ車に絞りかけていた矢先にそのニュースは飛び込んできました。
「FIAT PANDA MT限定で発売!」
これには心躍りました!実はパンダはとても気になっていた車でしたが、ミッションがデュアロジックしかない為あきらめていたからです。
何故あきらめていたか、それはデュアロジックが壊れるからです!w あれほど信頼の置けないものはありません。これはディーラーも認めているし、渋滞の多いこの国ではシングルクラッチATの負荷は甚大ですので仕方がありません。大体欧州の人たちは小さな車向けにATを真剣に作る気がないです。トルコン作るならもっと多段にしないと効率が悪い、ダブルクラッチはデカイし重い、だったらシングルクラッチ!は自然のながれですけどね。
もちろん壊れることを知っているからユーザーも買わない、だったら大して苦じゃないし壊れないMTに乗ったほうがましという悪循環(でもないか)。そもそもMT比率が高いから、いや壊れるから売れないのかわかりませんが。
ところが日本市場は9割近くがATという世界でも稀な市場です。多くの欧州車が日本に輸入されない理由でもあります。僕が心待ちにしているTWINGO3やC4 Cactusの輸入が遅れているのも同じ理由でしょう。向こうの廉価車は本当にATの設定が遅い。
で、ここにきてのPANDA MTの発売開始。嬉しすぎます。近頃のイタリア車の影の薄さには本当に寂しいものを感じておりましたので、この英断は心から応援したい。なんとなくルノーカングーの成功を横目に見ているような気がするものの、ベーシックカーをできるだけ安く提供することで裾野を広げようとすることは全くもって正しい。
「だって、大衆車メーカーなんだから。」
そもそも輸入車とはいえど、デザイン力も車の性能もアドバンテージは少なくなってきています。もちろん前回書いたような基本性能に対する意識の違いはあるのですが、とはいえそれだけで高い価格で戦えるほど日本市場も甘くはありません。特に信頼性の高い日本車を相手にしなくてはならないのです。
しかしながらこの車の魅力はなかなか代え難いものがあります。それはTwinAirエンジンとMTの組み合わせです。
私が乗れたのはPANDAのMTではなかったのですが、500Sで味わったトルクと回転上昇の感覚は、近年の車になかった機械を操る感覚が蘇ったように感じました。トコトコしたアイドリングから感じる優しさとは裏腹に、踏めば目を覚ましたかのようにビートを奏でながらグイグイ加速する。こういう感覚は10年くらい味わってなかったように思います。
効率を追ったはずの先進の技術すら、らしさを求めてしまうのは、さすがイタリア人だなと改めて感心しました。
街中ではもちろん高速でのスタビリティも十分以上であり、追い越し車線をキープすることすらできる。しかも静粛性もそこそこあり、エンジンの心地よいビートのみが身体に伝わるような演出も素晴らしい。
この車買ったら、クルマ好き・運転好きにはたまらないなと思いました。ああ欲しい、欲しかった…
敵は内にあり、嫁がどうしても首を縦に振ってくれませんでした…トホホ。
原因は前に乗っていたルノー・モデュスの故障の多さと諸々維持費の高さ。特に正規輸入されてなかったモデルだったのに加え、特殊な部品が多く他のモデルとの部品共有がなかった為ほとんどが輸入せざるを得なかった…外車にはありがちなことですが、手堅い車しか経験のない嫁には刺激が強すぎたようです。
ということで、車探しの旅は続くのでありました…